工業製品とエイジング

工業製品(特に電気製品)の場合において「エイジング」という場合は、動作状態のまま一定時間放置する事を指す。

とりわけオーディオ•システムのスピーカ等において、その必要性が指摘される場合が多い。計器での測定ではさほどの違いはないが、人間が聞く場合は、その音に著しい差があるとされる。たとえば、紙を適度に柔らかくしたり、スプリングの弾性をこなれたものにするなど、1週間から長期では3年程度を要求するものもある。また、真空管を回路に使った製品では、このエイジングを行わないとヒーターの加熱不良で正しく動作しない物も見られたが、現在でも真空管の一種であるブラウン管を使用している映像機器(三管式プロジェクター)では、色の表現能力や表示特性が正しく機能しないため、エイジングを行ってから微調整を行う。

内燃機関など機械全体を、適正温度にまで高め、動作によって潤滑剤などを行き渡たらせるために、本来の設計性能を出せるまで毎回行う「暖機運転」とちがって、製品の表面加工や運動等を実際の運転によって適正状態に作り上げる、ならし運転である。特に内燃機関の場合、潤滑油が内部機構に馴染んだり、内部に燃焼によって発生する付着物の層が形成されないうちは、焼き付きを起こしやすい。このため新品の自動車では、慣らし運転と呼ばれる一定走行距離の内はエンジン回転数を抑えた運転が成される。この期間を通じて良好に機構が馴染んだ自動車は、慣らし運転を行わなかった物と比較して、性能面で一定の差が出るといわれているが、これもエイジングの範疇である。かつては、加工技術が未熟で金属粉や油分などが付着しており、これらを除去し可動部分をスムースにするため、必要な工程とされていた。方法は、高速運転を数分行うものから、低速運転をある程度行うなど、様々である。自動車の場合最初のオイル交換時期が短いのはこのためである。

またコンピュータ等のような精密機械では、一ヶ月程度動作させないと初期不良の問題が発現しない場合もある。同様の問題は家電製品にもあるため、これらの問題においては、多くの家電製品において1年程度の補償期間を設けて不良品の発生に対応している。これはエイジングによって不良箇所の発見を行うものであると言える。